研究者をやめて主婦になった
はじめまして。りぃと申します。
私は1年半前まで生物研究者を目指し、土日関係なく深夜まで研究室に入り浸り、実験を行っていました。
私は高校生のときから生物が好きでした。
例えばある2人の人物に同じ出来事が起きても、
一方はその出来事をよかったことと思って、
もう一方は悪かったことと捉えたりする。
とらえ方の違いによって、その後の行動も変わる。
なぜ同じ出来事が起きているのに、違う受け取り方をして、行動も変わるんだろう?
その違いを作っているのはなんなんだろう?
そう思ったのがきっかけです。
それから、とても英語が好きだったので、海外で生活して、いろんな考えを持った人と交流しながらいつか人の役に立つような研究ができたらいいなと思っていました。
そんな思いで、大学→修士課程→博士課程と進み、高校を含めて約12年間、研究者になることを目指して、なにがあってもひたすらに進んでいました。
いつか教授になって自分の研究室を持って、
学生に研究の楽しさを教えながら自分もバリバリ研究を続ける!
そういう人生しか想像していませんでした。
でも、突然所属研究室がなくなったり、つかみかけた海外留学の切符を失ったり、博士過程での度重なる理不尽な出来事、夫との出会い、3年間の遠距離恋愛、1年間の別居婚、自分の親の離婚騒動、、、さまざまな出来事があり、進み続けることに心身ともに疲れ果ててしまいました。
博士をとるまでは絶対やめない!わたしは研究者になる!と強く思い、やり続けてきたけれど、
私はこのままこの道を進むのが幸せなのだろうか。
もうできるだけ頑張ったから、一旦立ち止まってもいいんじゃないか。
博士号を取り、いまから研究者スタートだという時に、研究者を辞めることにしました。
30歳になる年でした。
まさか30歳になる年に、辞めるという決断をするなんて思いもしませんでした。
辞めることを悩んでいた時は、周りから今やめるのはもったいないとたくさん言われました。
研究自体はとても好きだったこともあり、
辞めたばかりのときは、
「大学の友人は、生き生きと仕事をしているのに、自分は無職で、ぼろぼろになった心と、奨学金という名の借金しかない。」
と、これでよかったのか何度もわからなくなりました。
「博士課程 辞めたい」と検索して、博士課程の人が苦しい思いをして最終的にうつ病や社会復帰ができぬまま今も過ごしている、といったようなブログを見つけたりして、自分もそうなるかもしれないと不安になりました。
研究者になる自分しか想像していなかったので、突然人生の1番の目標がなくなり、心にぽっかり穴が空いたような感覚に襲われました。
でも辞めて1年半経った今、貯金もなくなってしまったけれど、幸せだと思える瞬間がたくさん増えて、辞めてよかったと思っています。
研究していたときよりも、今のほうが圧倒的に、笑顔の回数が増えたし、幸せです。
あのまま研究をし続けていたら、50歳や60歳になったときに、立派な研究成果をあげれたかもしれないけど、そのときには家族との思い出よりも研究の思い出ばかりになって、そのときはじめて、本当にこれが私の望んでいたことなの?と思っていたかもしれない。
人生ってどんなふうになるのか全くわからないんですね。
まさか自分が今こんな人生を歩んでいるなんて、全く想像できなかった。
私は仕事人間の方だったので、仕事を辞めている期間があるなんて想像していなかった。
30歳、ゼロからのスタート。
そんな人生も悪くない。
30歳、ゼロからのスタート。
研究をしていたころは、別居婚だったのですが
今は夫と同居して、猫たちとゆっくりした時間を過ごしています。
そしてついこの間、娘が誕生しました。
朝起きたら夫と娘が隣に寝ていて、猫たちが足元で気持ちよさそうにしている姿を見て幸せを感じます。
猫の名前は、ちゃたろうとメルとゆき。
みんな夫がもともと飼っていた猫たちです。
ちゃたろうは私と夫が出会う前からいる猫で、今年推定11歳。
とっても穏やかで優しい猫。
私が猫好きになるきっかけとなった猫です。
3匹とも夫に命を救われた猫たちで、夫に絶対的信頼をおいており、親のような存在。
私が新参者です。
今住んでいるお家はもともと夫と夫のご両親が住んでいたお家で、約1年半前から夫と猫たちと私で住み始めました。
私が住み始めた当初は、築30年ということもあり、経年劣化と猫たちの爪とぎにより、壁や床が傷だらけでした。
1年半をかけて、部屋の片づけから壁や床のDIY、畳の張替えを行って、やっと私たちの家らしくなってきました。
そして猫たちともすこしずつ家族になっていきました。
研究をやっているときは、土日も関係なく研究室に行っていたし、他県に住んでいた夫が会いに来てくれても、夫をひとり家に残して研究室に行くことも多く、まともに外出や旅行すら行っていませんでした。
今思うとなんであんなに研究室ばかり行ってたんだろう。
夫が来てくれたタイミングくらい、たくさん旅行に行ったりすればよかった。
わざわざ休みを取って会いに来てくれたのに、研究室に行かなきゃと行って去る私を何も言わず笑顔で送り出してくれていた夫が、どれだけ優しかったのか、専業主婦になってみて初めて気付きました。
そしてそのやさしさにとても甘えていた自分にも気づきました。
当時は、研究のことばかり優先して、結婚式も、旅行も、研究以外でやりたいことも、全部後回しになっていました。
研究していたときも、これやりたい、あれやりたい、とおもっていたけど、
研究があるから、といってあきらめていました。
だから辞めてからは、心身ともにゆっくり休んで、もう一度前を向くために、
まずは、少しずつ、やってみたいことをしてみよう、そう思っています。
やってみたいことのひとつだったのが、こうしてブログを作って、発信することです。
苦しかった、悔しかった、もっとこうしたかった、
そんないろんな思いがあった過去。
こうやって過去のことに向き合い、書くことが、私にとって前に進むための糧になる気がしています。
そしていつかまた、研究をやっていたころのように、
自分が好きなことに、全力投球できるようになりたい。
そう思っています。
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